Paper Science Forum 議事録(2004/07/12新)

(この議事録はごく簡単なもので、会員には詳しい議事録を配布しています。)

開催日

内容

第20回

2002年1月18日

詳しい議事録

話題提供
テーマは「塗工紙と印刷適性」
  1. 「デラミゴースト発生要因の塗工紙からの考察」(鷲谷公人氏・三菱製紙㈱)

    デラミゴーストとはオフ輪印刷において逆面の絵柄が白抜け状に現れる現象である。 本件ではデラミゴーストの発生度合いの数値化、デラミゴーストと塗工紙物性の因果関係、デラミゴースト発生機構の仮説、そしてそれらを裏付ける分析結果について述べる。

  2. 「蛍光X線元素分析による紙面インキ量の定量法-モットリング解析への応用-」 濱田仁美 氏(東京大学)

    藍インキを用いた印刷物に関して、蛍光X線元素分析によるインキ転移量の定量法を確立した。この手法を応用して印刷物のモットリング解析を行い、印刷ムラを発生させる要因について検討した。

第19回 2001年11月5日

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話題提供
テーマは「紙のトライボロジー/摩擦・摩耗・潤滑・接触(その2)」
  1. 「紙間摩擦係数に影響する紙の特性」 (江前敏晴・東京大学)

    -上質紙、中質紙、及び叩解度と表面粗さを変えた手すき紙の紙間摩擦係数を調べた結果からどのような因子が摩擦係数に影響を及ぼすかを考察した。その他、文献から添加剤の影響も紹介する。

  2. 摩擦試験器のご紹介 (野村友良・野村商事㈱)

    ISO準拠の摩擦試験器の特徴について紹介する。
 
きょう雑物評価に関する共同研究(提案)

新しい共同研究テーマ「きょう雑物測定方法の比較」を提案した。この共同研究にご興味をお持ちの方は、掲示板を是非ご覧ください。

(提案内容)現在、再生紙の評価などリサイクル関連の試験規格が整備されつつあります。日本では、JIS P 8208:1998「パルプ-きょう雑物測定方法」が定められており、再生紙の脱インキの程度の評価に利用可能です。やり方は、反射光又は透過光を紙の試料にあて、拡大鏡を使って紙面にある今日雑物を目視観察し、その大きさを比較図と見比べながら決定し、数を数えていく方法です。問題は、その比較図にあり、JISは、多種類の形状のきょう雑物見本があるのに比べ、ISOで使用する比較図は非常に単純です(別紙参照)。JISでは、ISOの比較図は単純すぎて精度の高い測定ができない、と考える立場を取りISOの比較図を採用していません(附属書には採用)。本当の両者の比較図で測定結果に差があるのか、を試験し、またスキャナーやビデオカメラを使って画像処理的に計算した場合とどの程度差があるのかを検討する。最終的には迅速に処理が可能は画像処理法へと移行する可能性もあるが、画像処理では2値化の閾値の設定によって結果が左右される点、きょう雑物の色が目視で判定する面積に影響する点などを考えると、画像処理法はまだ完全な方法とは言えず、3者の比較は意味のあるものと考えられる。製紙会社では目視法を現に使っている、との報告もあった。これらの点からこの共同研究は意味のあるものと判断し、2年以内に具体的な成果が公表できるように作業を進めることにした。

第18回 2001年8月31日

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話題提供
テーマは「紙のトライボロジー/摩擦・摩耗・潤滑・接触」
  1. 「紙の表面形状とその測定法」 (山内龍男氏・京都大学)

    -初めに非コート紙およびコート紙それぞれにつき、電子顕微鏡写真を用いて紙の表面形状の特徴を簡単に説明する。次いで紙の表面形状測定法として独自に発展して今日でもよく利用されている空気漏洩型と光反射型表面粗さ測定法の紹介、および表面形状の三次元計測が可能な触針法、三次元計測走査電子顕微鏡(トポSEM)法、光干渉顕微鏡法を紙に適用した結果について説明する。


  2. 「紙の摩擦とその測定法」(佐藤潤氏・㈱昭和丸筒)

    -紙の摩擦の測定には一般的にはJIS等で定められている方法があるが、現象としての紙のトライボロジーをシミュレートするには他にどのような方法があるのだろうか?ここではstrip-on-drum法を中心に解説する。

  3.  「紙送りローラの評価方法及び測定装置について」(山川健太氏・オムロン㈱)

-紙幣繰出し機構及び繰出し性能に及ぼす特性要因、キーパーツであるローラの設計課題、評価方法及び装置、測定事例について紹介する。

第17回 2001年6月20日

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話題提供
テーマは「試験の自動化と非木材繊維紙
  1.   「紙試験の自動化・非破壊化」(野村友良氏・野村商事㈱)

    -紙試験は従来、人手に頼る割合が多く、個人差・サンプリングの誤差等により満足な精度が得られない事があった。また、サンプリングや測定に時間がかかり、製造工程へのフィードバックが遅れる等の問題点もあった。この点を改善するための、現場での紙試験の自動化の状況やハードを紹介する。


  2. 「非木材繊維の特徴と利用」(吉村隆重氏・三島製紙㈱)

    -非木材繊維は木材繊維に比べて平均繊維長が長い傾向にあり、長繊維成分が多いこと、柔細胞を含むことから、木材繊維とは異なるシート特性が得られる。いくつかの非木材繊維から得られるシート特性について紹介する。
第16回 2001年4月5日

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話題提供
テーマは「特殊な機能をもった紙」
  1. シガレット用巻紙計測システムによる巻紙物性に関する研究」(花田淳成氏/日本たばこ産業㈱)  

    -通常、シガレット用巻紙の評価は常温で測定した物性値に基づいているが、燃焼時のシガレットを想定した場合、巻紙の物性や紙層構造は燃焼コーンで発生する熱により変化すると考えられ、その変化がシガレットの性能に影響していることが予測できる。そこで、熱による巻紙の物性変化の把握を目的とした「シガレット用巻紙計測システム」を構築し、熱による巻紙物性や紙層構造の変化を検討した。
第15回 2001年1月22日

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テーマは「新しい繊維の技術と応用」
  1.   「Western Michigan 大学での研究報告」(武藤直一氏 ・大蔵省印刷局研究所)

    -Paper & Printing Science and Engineering 学科に滞在して非木材繊維のアバカ、バガス、コットンリンターの特性及び水系グラビア印刷適性について調べた結果と学科の概要について紹介する。

  2. 「酢酸セルロース製造技術の革新」(柴崎秀樹氏・ダイセル化学工業㈱総合研究所)

    -セルロース誘導体で最も製造量の多い酢酸セルロース(セルロースジアセテート)の工業的製造法とダイセルにおける酢酸セルロース生産技術の革新について、高温酢化・高温熟成プロセス、さらには減圧酢化・高温熟成プロセスを中心に、その経緯とコンセプトを紹介した。また得られる酢酸セルロースの物性や原料パルプに望まれる特性についても述べた。
第14回

2000年11月13日

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話題提供
テーマは「紙の新しい周辺技術―不織布と紙の照合―」
  1. 「ウォータージェットを用いた湿式不織布の特性」(深沢博之氏・静岡県富士工業技術センター)

    -湿式不織布はウォータージェットを利用して繊維どうしを交絡させる。ウォータージェット処理のウェブに対する角度を変化させたときに不織布の強度がどのように変化するか調べた。

  2. 「二次元フーリエ変換と相互相関法による紙の異同識別」(宮田瞳氏・警視庁 科学捜査研究所)

    -紙を非破壊に異同識別する方法として画像解析法を検討している。ワイヤーマークなど、製造工程に由来する周期性を周波数解析(フーリエ変換)で抽出し、そのパワースペクトルの類似性を相互相関法で定量化する。その方法論と実地応用例として PPC 用紙および新聞紙に適用した例を述べる。

  3. 「新技術開発のためのビジョン」 (Dr. Mikko Karvinen ・Valmet Corporation, Finland)

    -研究開発の基本的な流れを図式的に紹介した。大量生産型の製品の製造技術は、コスト効率が良く、不確実性が小さい(低リスクである)ことが求められる。これには、既に確立された技術が適用されるのが普通である。では、斬新な技術はどこで開発されるかというと、多くの人が目を向けている大量生産型製品の製造からであるというよりは、むしろ特殊な付加価値のある製品の製造技術から生まれる。その分野では、原動力はサイエンスであり、サイエンスの新しい成果がいち早く採り入れられ、新技術が開拓される。ただし、ここではコストと不確実性の高さが付随している。こうした新技術はさらに開発され、次に大量生産型製品の製造のために技術移転される、というステップを踏むわけである。したがって、将来の技術を開発するためには各種分野と繋がりを持っていなくてはならない。フィンランドでは、企業、大学、研究機関の間での交流が盛んであり、共同で新しい技術が開発されることが多い。研究段階から具体的な商品製造へと進行していく過程で、不確実性が下がる一方、資本の消費が増加していく図式が示された。Valmetは、Metsoという企業グループに属しているがほかの企業や大学と様々な連携がある。
第13

2000年9月8日

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話題提供
テーマは「印刷技術の展望

特別講演会
講演題目『20世紀ハードコピー技術の総括と将来』
講師 高橋恭介 氏(東海大学)

 
紙を情報の入れ物とするハードコピー技術のこれまでのまとめと21世紀へのトレンドなどを概説

第12回

2000年6月30日

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話題提供
テーマは「紙の地合測定法 -軟X線、可視光など線源の種類とその特徴-」
  1. 「X線フィルムを利用した地合評価のための基礎検討」(西村道夫氏・富士写真フィルム㈱)

    -光源に軟X線を用いて、紙の透過画像をX線フィルムに撮影すると、紙の密度の影響を受けずに坪量の差異が検出できる。一方、光源に可視光を用いてX線フィルムに撮影すると密度と坪量の両方の影響を受ける。これより、軟X線および可視光の両方で撮影すると、紙の密度ムラについても定量化が可能になる。
  2. 「感光媒体としてイメージングプレート利用したX線透過画像」(江前敏晴・東京大学)

    -紙の軟X線透過画像をイメージングプレートに撮影して調べることにより、手法の簡略化・精度の向上を図った。この方法を紹介する。

その他連絡事項

今回からフォーラムの最後にコーヒータイムを設けました。懇親会とコーヒータイムを交互に行います。

第11回

2000年4月18日

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話題提供
テーマは「機能紙の最新動向」
  1. 「フィルタ用ガラス繊維紙について」(数森康二氏・北越製紙㈱)

    クリーンルーム等に使用される高性能エアフィルタメディアは、極細ガラス繊維をベースにした不織布シートが主流で、北越製紙では、HEPA0.3

    mm径のダスト除去率99.97 %以上)及びULPA0.1 mm径のダスト除去率99.999 %以上)を商品化している。フィルタメディアの要求特性としては、濾過性能の向上すなわち濾過抵抗をいかに下げ、ダストの捕集効率をいかに上げるかにあり、一般に、フィルタ性能の指標となるのは、PF値である。

    ここで、Pは、ダスト(エアロゾル)の透過率(%)。D Dは、圧力降下(Pa)である。平均径0.52.7

    mmのガラス繊維で作られたフィルタについて比較すると、繊維径の小さいものほどフィルタ性能は上がった。また、2種類の径の組み合わせで性能は向上した。バインダとしてアクリル系ラテックスを含浸して用いた検討では、バインダ量が多いほど、性能は下がった。バインダ量を増やすとフィルタの平均細孔径が大きくなることから、繊維の交点以外の場所で、膜状のバインダが目を覆いふさぐように集中して分布するためではないかと予測された。バインダー液に界面活性剤を添加することによりバインダー膜形成を防いだ結果、平均細孔径は小さくなり、フィルタ性能は向上した。
    (関係資料)Soyama, T.,"A requirement on air filter media for semiconductor industry in Japan and high perfomance air filter media", Proceedings of Tappi Nonwovens Conference, 151-155(1997)
  2. 「無電解めっきを主体とする導電紙の調製、及びその電気的特性について」(品川俊一氏・物質工学工業技術研究所)

    無電解銅・ニッケルめっきで雲母・ガラス繊維などの粉体表面に金属を皮膜化して導電性フィラーを調製した。めっきは実用性を勘案し、銅とニッケルの二層めっきを主体とした。銅は銀に近い高導電性を持ち、且つ比較的安価である。ニッケルは銅に比較して導電性は低いが、銅の酸化を防ぐために用いられる。種々の導電性フィラーとパルプとを混合してシートを調製し、マイクロ波の反射率を測定することにより電磁波のシールド特性を調べた。導電紙のシールド効果は、パルプに混合するフィラーの導電性、フィラーの形態、フィラー相互の密着性などで決まる。導電性雲母のようにフィラーが大きい場合は、セルロースパルプが導電性フィラー相互の密着を長期間保持することが出来ず、時間の経過と共にシートが嵩高となり、シールド効果が低下した。しかし、プレスで処理するとシールド効果は復活した。また、叩解したパルプは導電性フィラー同士の密着力を強めるので、導電紙の導電性が上がる傾向がみられた。

  3. 「木材学会(京都)紙パルプ分野での発表報告」(江前敏晴・東京大学)

    200043-5日に木材学会大会が京都で行われ、紙パルプ分野は発表が14件あった。このうち物性関連の研究発表についていくつか報告する。分解能の向上したFE-SEMによるパルプ繊維表層にある微小繊維の観察[(東京大学)岡本、飯塚]。超音波顕微鏡を使ったパルプ単繊維壁のせん断弾性率測定[(東京大学)カンタヤーヌウォン、江前、尾鍋]。アルケニル無水コハク酸(ASA)-セルロース反応物は、炭酸カルシウム存在下でも加水分解しない[(東京大学)佐藤、磯貝、尾鍋]XPSを使い、臭素ラベル化してロジンサイズ剤のマッピングを行った。[(九州大学)西野、北岡、田中]。球状の多孔質炭酸カルシウム塗工に応用し熱転写プリンタでの転写率が上がった[(東京大学)辻野、江前]。インクジェット用紙の初期吸水速度が大きいものほど印字品質がよくなった[(韓国江原大学)李、(東京大学)空閑]。電子メディアと紙メディアが情報内容を伝える上で与える影響[(東京大学)尾鍋]
    (関係資料)第50回日本木材学会(Wood 2000 Kyoto)予稿集335-343(2000)

第10回

2000年2月14日

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話題提供
テーマは「包装材料及び印刷媒体としての観点から見た紙」
  1. 「塗工紙の曲げこわさの評価法と制御」(大篭幸治氏・日本製紙㈱)

    塗工紙の曲げこわさがどのように発現するかを、塗工層のヤング率を求めることにより評価した。曲げこわさに関しては、外側にある層ほど歪みが大きくなるため、塗工層のヤング率は塗工紙全体の曲げこわさに大きな影響を与える。まず、片面塗工シートのクラークこわさから塗工層のヤング率を計算する方法を理論的に考察した。また実験的には、クラークこわさ及び純曲げこわさから塗工層のヤング率を計算した。その結果、塗工ベースとして紙を使用し、未塗工の原紙の厚さや坪量を計算に用いると正しく塗工層のヤング率を計算することができないことがわかった。これは膨潤による厚さ増加などのためで、PETのような吸収性のないフィルムをベースとして使用しなければいけないことがわかった。デンプンの配合はデンプンとSBラテックスのブレンドフィルムのヤング率を向上させた。またプラスチックピグメント(PP)は粒径の小さい方が塗工層のヤング率が高くなった。しかし、PPは比重が小さいので自重に対する曲げ抵抗の向上が期待できる。ダブル塗工でデンプンを多く配合したヤング率の高い層を外側に配することにより塗工紙全体の曲げこわさを向上させることができた。
    (関連文献)大篭幸治, 江前敏晴, 尾鍋史彦, 「塗工紙の曲げこわさの評価法と制御」紙パ技協誌, 51(4): 635-644(1997)

  2. 「包装材料としての板紙の品質改善」(浅山良行氏・王子製紙㈱)

ゴミ減量、リサイクル促進を目的として容器包装リサイクル法が2000年に紙部門へも施行され、包装素材としての紙・板紙もさらに品質を改善していく必要に迫られている。まず、剛度改善について板紙をサンドイッチ構造にモデル化して対応を考察し、次に人間が感ずる表面の面感の良し悪しを微小色差計により数値化して改善する方法を考察した。A. T. Luey (Tappi 1963)の式によって各層のヤング率と厚さから板紙の剛度を推定した。この推定は、テーバー剛度とよく一致していた。剛度改善の事例として、全体の紙厚を変えないで中層のパルプを低密度化して350 g/m2270 g/m2にしても同一の剛度が得られ、白板紙"バルライト"を開発するに至った。板紙の面感について、微小色差分光計を開発し、反射率のばらつき及び白色度のばらつきを、スポット径0.30.6又は1.2 mmの線走査を行って調べた。スポット径0.6及び1.2 mmのとき、その標準偏差は、目視による判定結果と相関が高かった。

第9回

1999年12月6日

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話題提供
テーマは「表面の形状と紙間摩擦」
  1. -紙をさばく- 摩擦と厚さが給紙に及ぼす影響」(小間康夫氏・日本システムハウス)

    -手形・小切手用スキャナDEScan 200で採用した給紙・紙捌(さば)きの機構について説明する。重ねた用紙を、給紙ローラーを回転させ先端で紙の動きを止めると、下にある紙がたわむ。この原理で給紙・紙捌きを行う。用紙を止める捌きつめ下端を紙の縁端が超えると送り出される。重送対策として、つめ中央部を0.3 mm奥に下げる、などの改善を講じることにより、分離効果の向上見られた。紙の厚さやこしが変わったときにどの程度重送が防げるかが今後の課題である。

  2. 「白色光干渉型顕微鏡によるキャスト紙表面の凹凸測定」(福井照信氏・王子製紙)

    新しいタイプの表面形状測定機-白色光干渉型顕微鏡(Zygo New View 200)-を用いて、紙表面の凹凸形状を測定した。測定上の問題点として試料の固定方法があり、静電吸着板を使った方法が最も適していた。セロテープや磁石で固定する方法はたわみ補正機能を使っても大きな波長成分であるうねりを消すことができなかった。非塗工の紙では、反射光が微弱となり、高さを算出できない問題も起きた。白金コートにより反射率を上げるとデータの欠損がなくなった。キャストコート紙の白紙光沢面感の官能評価値との対応を見ると、1.0~5.0 mmの波長成分を抽出したときの中心線平均粗さが良い相関を示した。

この話題提供のあと、江前が、山内氏(京都大学)より資料提供のあった、干渉型顕微鏡に関する文献を紹介した。

印刷品質評価に関する共同研究(進行状況の報告)

「『色校正の用語と指定、見本入手』のための印刷会社や版元へ依頼状原案」(原啓志氏・三島製紙)
印刷物の質を表現する言葉の収集をデザイナーや印刷会社から引き続き行い、その表現が該当する印刷物も集めることから始めることを前回のワーキンググループによる話し合いで確認した。これによって、印刷物の評価の主観的なやり方が一般にどのようにやられているかを知ることができる。上記依頼状について説明を行った。実際の文面はワーキンググループでe-mailなどでやりとりして再度協議して作成した後、次回フォーラムで会員に配布をお願いすることにした。

第8回

1999年10月14日

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話題提供

ISWPC Pre-symposium, Seoul, Korea, 1999199962-4日に韓国のソウルで行われた。 サブタイトルは、Recent advances in paper science and technology。発表の中から紙の物性に関する発表の概要を報告した。

  1. "Thermoporosimetry by isothermal step melting" authored by T. C. Maloney (HUT)(担当 山内龍男氏・京都大学)
    ABSTRACT: A new thermoporosimetry technique is described. The technique is based on the isothermal step melting of water in a porous sample. The pore size distribution(PSD) is calculated from the melting temperature depression of the imbibed water. It is shown that the pore volume and PSD of 4-300 nm nominal pore diameter porous glasses can be accurately measured with the step technique. The results indicate that pulp fibers are more complicated than porous glasses to measure with thermoporosimetry.

    Stone-Scallan
    らの溶質排除法による繊維飽和点は、信頼性が低い。湿潤状態のパルプのポアサイズを測る方法として等温ステッププログラム機能のある示差走査熱量計(DSC)を使うと、ガラス繊維などでは試料重量に依存しないポア分布の測定ができた。パルプ繊維では完全には測定できていない。
  2. "Analysis of fiber wall thickness in mechanisms of refining, hornification, enzyme treatment of fibers by confocal laser scanning microscope"(担当 山内龍男氏)

    ABSTRACT: Confocal Laser Scanning Microscopy (CLSM) made it possible to investigate the inner structure of fiber walls and using an optical sectioning technique, macro-separation in fiber walls. In particular, the optical sectioning technique was used to observe the sequence of the fiber wall delamination and the fiber wall breakage during refining. In combination with image analysis techniques, the most important thing done with the CLSM was to quantify internal fibrillation of beaten fibers. The quantification demonstrated the excellent relationships between paper properties and internal fibrillation. Furthermore, the quantification of fiber wall delamination confirmed that low intensity beating was not only a more efficient technique in deriving internal fibrillation than high intensity beating, but also the best strategy for retaining fiber length during refining. The CLSM enabled observations demonstrating that the thickness or diameter of fiber cross-sections was reduced with excessive refining, despite fiber wall swelling taking place. Measurement of fiber wall thickness after every recycling stage confirmed that hornification leading to deterioration of wet plasticity hindered fiber wall swelling.

    共焦点レーザー走査顕微鏡(CLSM)を使用し、パルプ繊維の細胞壁の厚さや、リファイニング工程で繊維表面から微細な断片が欠落して起こる断面形状の変化などを測定した。
  3. "On reinforcement of straw pulp" authored by Y. Yu, H. Kettunen and H. Paulapuro (KCL, HUT)(担当 山内龍男氏)

    ABSTRACT: The reinforcement of wheat straw pulp sheets with softwood kraft was studied, with special emphasis on the impact of softwood kraft beating and the proportion softwood kraft in straw pulp. The reinforcement was evaluated by measuring the tensile stiffness and in-plane fracture behavior of samples. The results were compared with a mechanical pulp (TMP) and with a hardwood birch kraft, both reinforced with the same softwood kraft. Wheat straw pulp forms strong interfiber bonds. Therefore, its tensile stiffness and tensile strength are larger than TMP used. In-plane tear tests showed that a pure wheat straw pulp sheet has low fracture energy and correspondingly a narrow fracture process zone. The fracture energy of the reinforced straw sheets was found to increase linearly with the proportion of both unbeaten and beaten softwood pulps.

    わらパルプにNBKPをと混合し、補強する研究を行った。引張こわさと面内(で引き裂くときの)破壊靱性について測定した。破壊靱性は、叩解、未叩解の場合ともNBKPの混合率に比例して増加した。
  • "Effect of Condebelt press drying on linerboard properties" authored by H. L. Lee, H. J. Youn and T. M. Jung (Seoul Univ., Korea)(担当 江前敏晴、山崎秀彦氏)

ABSTRACT: Condebelt drying provides opportunities not only of improving the strength properties and savings of drying energy but also of reducing the basis weight or increasing the utilization of recycled furnishes. In this paper general overview of the Condebelt press drying will be described and the effects of the process variables in Condebelt press drying including drying temperature, pressure, drying time, and moisture content of the sheets on the paper properties is discussed. The experiment was performed with a static rig and Korean OCC was used as a principal raw material. Significant improvement in sheet density, compression strength, tensile strength, surface smoothness, etc. was obtained when Condebelt drying was applied. Control of pressure and inlet dryness was found to be very critical in improving sheet properties. Mill experiences from Dong Il Paper Mfg. Co., Ltd. is briefly described

コンデベルトを用いて段ボールライナーを製造した場合の強度を測定した結果、紙力強度の向上が見られた。コンデベルトは、プレスを行いながら乾燥する方法(プレスドライング)で、しかも減圧脱気するので乾燥時には水蒸気だけが存在しこれが乾燥効率を上げ、コストを引き下げる。リングクラッシュ法などの強度測定から、良質のアメリカの段ボール古紙(AOCC)に、低質の韓国段ボール古紙(KOCC)を同量配合しても、AOCC100%で通常のシリンダ乾燥したものに匹敵する紙力が得られることがわかった。

話題提供2:
塗工による紙の表面加工と塗工紙の分析手法について」(江前敏晴・東京大学)

塗工紙の生産量、塗工工程での材料の調製、塗布、計量、乾燥段階の意味と手法を説明した後、塗工層構造の評価に関する理論などを述べた。塗工紙の分析方法として、電顕などの観察手段を始め、適用可能な分析機器などを系統的に紹介した。

印刷物の質を表現する言葉の収集をデザイナーや印刷会社から引き続き行い、その表現が該当する印刷物も集めることから始めることを確認した。印刷物は、印刷会社や版元に依頼し、保管している校正物を譲り(借り)受けることにした。次回にPSFメンバーに協力を求めることにする。紙のグレードは塗工紙なら何でもよいものとする。最終的には紙の物性が印刷品質に与える影響まで調べることを目的とすることを再確認した。

印刷品質評価に関する共同研究(進行状況の報告)
第7回

1999年8月5日

詳しい議事録

話題提供
  1. 「水分含有量と紙の強度」(金子哲男氏・理論物理学者、山崎秀彦氏・バルメットジャパン、発表は金子氏)
    紙の強度発現を理論的に考察した。水切れ過程および乾燥過程でのパルプ繊維間の水の体積減少により、繊維は歪み製紙完了状態で弾性エネルギーを蓄積している。解離したカルボキシル基等による電荷が繊維表面およびフィブリル表面上に多数存在するとき、これは繊維に歪みが生じる現象を助長しえる(古典流体に対する解析結果に基づく).。1本のパルプ繊維aからほどけ出ているフィブリルの樹状網は、他の繊維bに属するフィブリルまたは繊維b本体と水素結合を介して結合し繊維ab相互の動きを止めている。繊維bに結合している繊維a由来の多数のフィブリルフィブリル中のミクロフィブリルおよび繊維aに結合している繊維b由来の多数のフィブリル中のミクロフィブリルは動きを止めることに有効に寄与しているもの(Geff)だけでなく、そうでないもの(Gineff)が存在する。フィブリル表面(繊維表面を含む)への水分子の吸着量が増加すれば、吸着された水分子を媒介してGeffに属するミクロフィブリルの結合位置のシフトが許され上記の弾性エネルギーは緩和されえる。この現象によりGeffに属するミクロフィブリルの本数は増加する。紙の含水率は雰囲気の相対湿度の変化に応じて変化するが、一定の相対湿度であっても高湿度側から調湿したときより、低湿度側から調湿したときの方が含水率は小さくなる。このような履歴現象は引張強さや耐折強さにも影響を及ぼしている。耐折強さが相対湿度の増加に伴い大きな値を取りえる現象には、Geffに属するミクロフィブリルの本数の増加が寄与していると推定される。1本のセルロース鎖上のOH基と他のセルロース鎖上のOH基との間で架橋する配置を占める水分子は、上記の結合位置のシフトに伴い増加すると期待される。この現象が生じるならば、そのとき紙の水分含有量に関して履歴現象が現われなければならない。
  2. 「圧縮による紙の変形と紙に蓄えられる面外内部応力」(江前敏晴・東京大学)

    紙の圧縮に関する理論式をいくつか紹介した。ウールの繊維塊について、圧縮の圧力P(又はPN、Nは定数)は紙(繊維集合体)の密度の3乗に比例するという関係がある。この関係は密度が小さいときにはよく合うが、紙のように密度の高いものは圧力と密度は1次の関係にあるとする大崎の理論もある。

    「紙の表面ラフニングに関与する内部応力の異方性」について説明した。紙表面が粗くなる(ラフニング)理由の1つとして内部応力の解放がある。内部応力には方向性があり、面方向の内部応力が解放されると波打ちや大きな変形が起こり、厚さ方向の内部応力が解放されるときにラフニングや厚さの増加が起こるのではないかと仮定した。圧縮モードではKubatプロットは試料が異なると平行にならないので一定緩和速度の時の初期荷重の値を便宜的に面外(厚さ方向の)内部応力と定義した。

品質管理用のチャート(ゲージ)を使って画像処理により解析できる。網点再現性(網点面積再現性と網点形状再現性)、ドットゲイン、ミスドット、スムースネス尺度(又はラフネス)。微小領域で測定可能な濃度計、又は反射光量の絶対値に感応するCCDカメラが利用可能なら鮮鋭度(sharpness)、解像性(resolution)、ベタ均一性も解析できる。

印刷品質評価に関する共同研究(進行状況の報告)
第6回

1999年6月29日

詳しい議事録

話題提供
  1. 「ATMなど紙幣処理装置に搭載可能で高速・高精度に紙幣の剛性を判別するローコストなユニットの開発について」(瀬川将宣氏・オムロン㈱)

    ATMや券売機での紙幣処理に必要な紙質判別ユニットを開発した。この装置では、2本の搬送用ローラの真ん中に置かれた荷重検出用ローラが通過中の紙幣を強制的にたわませる構造を持ち、たわまされた紙幣から生じる反力を検知する。測定される反力は、紙幣の剛性(ヤング率×厚さの3乗に比例)を反映するものであるが、キズ、折り曲げ跡などの塑性変形や温湿度による剛性変化が大きいので非線形の挙動を示した。
    (参考文献)瀬川将宣, 長田淳, 小俣順昭, 「紙質判別ユニットの開発 タグチ・メソッドを用いたパラメータ最適化による高速・高精度・ローコストなコンポの実現について」, OMRON TECHNICS 39(2), 16(1)-16-(6)(1999)

  2. 「ゴム板厚さ計により測定した紙の圧縮性」山内龍男氏・京都大学)

    同質の紙の坪量と、JISに従って測定した厚さの関係は原点を通らない。これは坪量の変動と紙表面の凹凸に帰因する。通常の厚さ計の金属面両面に軟らかいネオプレンのゴムを貼って厚さを測定した。このゴム板厚さ計によると、坪量-厚さ間のプロットは、傾きはほぼ同じで原点に近い点を通る関係となった。この装置による測定圧力と厚さの関係を見てみると、圧力50~100 kPaで直線関係があり、また50 kPaでの厚さを基準とする圧縮率に対して測定圧力をプロットすると、この直線部分はどの坪量の試料でも原点を通った。密度の低い表面層と密度の高い内部層の寄与割合の差が原因であると考えられる。
    (参考文献)Yamauchi, T., "Compressibility of paper - Measured by using a rubber platen thickness gauge", Appita 42(3), 222-224(1989)

  3. 「荷重による紙の厚さの測定例」(篠崎真氏・王子製紙㈱)

    ブナ、ポプラ、マングローブ、エゾマツ、GPの5種のパルプ樹種について60~240g/m2まで坪量を変えた手すき紙を調製した。それらに対して、山内氏が開発したものと同様な厚さ計(ただし、ゴムは貼らずに金属面で紙を押さえる)を使って測定圧力を変え、厚さを計った。その結果、紙の厚さは圧力の対数に対してよい直線の関係が得られた。山内氏は厚さと圧力の間に直線関係を見出しているが、確かに狭い範囲ではそれが成り立つ。しかし圧力を広範囲で変化させると厚さの対数に対して直線関係となった。

印刷品質評価に関する共同研究(進行状況の報告)

分担作業の中で原氏(三島製紙㈱)より、印刷品質を人が表現する用語の収集と分類についての報告があった。デザイナーや印刷担当者などから校正の用語を収集した結果、「明るく」、「濃く」、「鮮やかに」などの21個の表現を、反対語、類語、内容、原因、対策とともに整理した。

第5回

1999年4月1日

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話題提供
  1. 「ある印刷雑誌の表紙を作成してみて-DTP、電子出版、色校正の現状と差異について実感したこと-」(原啓志氏・三島製紙㈱)

    雑誌「印刷雑誌」の表紙のデザインを担当した経験を述べた。図案の原稿を入稿し、校正用印刷機を用いた試し刷り(校正刷)を行う。特に問題となるのは色合わせで、カラープルーフを用いて原稿などとの対比を行う。初校、二校を経てCMYKの比率を具体的に箇所ごとに指定しながら校正していく。最後にフィルム出力を行い実機校正を行ってから実機印刷に入る。いろいろな紙について、CMYK各色の濃度を原稿、初校、二校、本刷、フィルムで比較したところ、校正刷りを経て本刷が原稿の色に近づいていく変化が多く見られたが、紙によっては原稿の色にそれほど近づかない物もあった。

  2. 「高精細印刷と視覚の空間周波数感度特性」(鍛治裕夫氏・三菱製紙㈱)

    印刷技術と写真技術の基本的な相違や、一般的な印刷品質についての説明のあと高精細印刷について論じた。高精細印刷については人間の目はどのくらいの解像度を持つかということが問題となる。視覚の空間周波数感度特性(MTF = Modulation Transfer Function)を調べると10本/mmが限度であるという研究結果がある。
    (参考文献)①「印刷物のできるまで―雑誌印刷の工程―」, 印刷雑誌編集部編, 印刷雑誌82(4), 4-9(1999) ②山下博, 永井秀明, 「印刷物微少濃淡むらの高精度検出法に関する研究」, 三菱重工技報, Vol.35(3), 202-205(1998)

印刷品質評価に関する共同研究

いくつかの試料について印刷し、官能検査及び装置による印刷品質評価を行って比較するような共同研究は可能か、またどのように行えばよいかの議論を行った。まず、紙のグレードを(例えばA2に)そろえた方がいいのではないか、紙の様々な物性値のパラメータが印刷品質とどう関係するかを最終的には明らかにするような方向がいいのではないか、など。

これらを踏まえて、具体的に品質評価項目などを絞り込むために、ワーキンググループを作り、サンプルの入手、官能評価、どのような評価項目を設定したらよいか、被験者への質問と集計後の解析法、装置による評価などを分担した。

第4回

1999年1月18日

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話題提供
  • 「オフセット印刷適性の評価法」(岡田茂氏・大蔵省印刷局研究所)

品質管理用チャートは、縦と横の万線で構成されたもの、同心円で構成されたもの、くさびを放射状に配列したものなどがある。これらを印刷することにより、スラー、ドットゲイン、網点のつまりなどを評価できる。数社の両面アート紙7種、特片アート紙4種、マット紙、合成紙、試作紙2種を用いたFOGRA型印刷適性試験機による実験結果から次のことが分かった。インキ転移率曲線では、いずれの曲線もピークを持っていた。平滑な用紙ほど版面上インキ量の少ないところでピークに達し、その値も高い傾向にあった。完全被覆に達した点はいずれも転移率がピークに達した後に存在している。
(文献)柚木, 正木, 岡田, 金子, "オフセット印刷適性に関する研究", 印刷局研究所報告, 51: 21-47(1982)

  • 「紙の印刷評価について」(平林哲也氏・王子製紙㈱)

印刷方式と印刷用紙のグレード、塗工印刷用紙の分類についての概説のあと、試験に使用する装置による分類(印刷試験機か実機か)及び評価の対象に関する分類(印刷仕上がりの優劣を評価する印刷品質評価と印刷の際の操業性を評価する印刷適性評価)があることを指摘した。印刷品質評価としては、インキグロス、印刷平滑性、インキ着肉性などがある。また印刷適性評価のうち印刷品位にも影響するものとして、インキセット、裏移り汚れなどを評価している。

  • 「テーブルと実機のインキ濃度の比較について」(徳永均氏・北越製紙㈱)

RIテスターを使ったテーブル試験を、モルトンロールであらかじめ紙を濡らした方法、水をインキといっしょに練り混む方法などで行い、実機試験でのインキ濃度と比較した結果、相関係数に差が見られた。

  • 「印刷品質の評価方法 -東京大学の学生実験での例-」(江前敏晴・東京大学)
学生実験の1つとしてインクジェットプリンタで印字した画像のドットを評価している。インクジェット専用紙2種、コピー用紙、中質紙に同一条件で印字した。ドットについて、面積、周囲長、形状係数、ラフネス、伸長率のいずれも低質紙の方が大きくなる傾向にあった。液滴が横(面)方向に浸透しやすいものほどこれらの値が大きいようであった。
第3回 1998年11月11日

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話題提供
  • 「紙の評価へのフーリエ変換の応用」(篠崎真氏・王子製紙㈱)

紙の透過光像を2次元フーリエ変換(2D-FFT)処理し、様々な解析に応用する方法について解説した。地合の解析をリングマスク法(パワースペクトル図で、全方向に関して平均し、波長だけの平均パワーを求める方法)により行った。その結果、6 mm前後の波長で最も相関係数が高かった。紙の透過光像などで見られるワイヤーマークを利用して紙の照合を行う方法もある。また、径のそろった粒子が単層(2次元的に)に分布する画像で、粒子の分散性を2D-FFTにより解析できる。
(参考文献)篠崎、田島、宮本、"紙の透過地合について", 繊維学会予稿集1998(G)、G-107(1998)
  • 「時系列データの解析 」(山崎秀彦氏・バルメットジャパン㈱)
    紙の地合を1次元あるいは2次元の透過光(あるいは質量)変動データを用いて、時系列解析法によりスペクトル解析する方法が考えられる。
  • 「フーリエ変換による紙のボコツキとサクションロールパターンの関連性」(仲山伸二氏・王子製紙㈱)
    紙の透過光像に含まれる周期性としてサクションロールパターンも検出が可能であり、再現されたシャドーマークはこれに一致した。サクションロールの目穴に由来する原紙面のボコツキが塗工面にも現れたことになり、面感に影響を及ぼすことが分かる。
  • 「卓上型イメージスキャナーの透過光像」(江前敏晴・東京大学)
    透過光像の出力装置としての卓上型イメージスキャナーの利用法を紹介し、出力される輝度(グレーレベル)の意味を考察した。坪量23~238 g/m2の範囲のLBKP手抄き紙を用い、坪量と、スキャナーによる輝度から計算した光学濃度との関係を調べた。分光反射率計で測定したデータからKubelka-Munk式に当てはめて予測される光学濃度と坪量の関係にほぼ一致した。
    (参考文献)江前敏晴, 空閑重則, "卓上型イメージスキャナーで取り込んだ透過光像による紙の地合評価", 第47回日本木材学会大会研究発表要旨集, 325(1997).
第2回

1998年9月11日

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話題提供発表
  • 「紙の風合い研究」(柳川明夫氏・大蔵省印刷局)
紙の風合いに関する草分け的研究を20年以上前に行われた、柳川氏にご講演いただいた。紙を形容する言葉、「かたい」、「しっとり」などを収集して分類し、物性値との関連を分析した。
(参考文献)高橋、長谷川、柳川、紙の風合い、印刷局研究所報告、第50号、1~100(1981)
  • 「紙―銀行券―の風合いについて 」(山崎秀彦氏・バルメットジャパン)

銀行券とそれに類似した紙、計10種について一対比較法の官能評価を行い物性値と比較した。
(参考文献)山崎、池田、馬場、長谷川、森本、銀行券の風合い、印刷局研究所報告、第52号、1~62(1981)
  • 「曲げこわさに関する術語と手触り感に関する最近の研究紹介」
(江前敏晴・東京大学)
「こし」は主観的尺度であるが、物性値としては「曲げこわさ」に対応する。曲げこわさから塗工紙の特に塗工層の評価を行った。
(参考文献)大篭幸治, 江前敏晴, 尾鍋史彦, "塗工紙の曲げこわさの評価法と制御", 紙パ技協誌, 51(4): 635-644(1997).
手触り感に関する最近の研究例を紹介した。
(参考文献)内田洋介、見須浩一、岩崎誠、"紙の手触り感を予測する方法について"、繊維学会予稿集(G)、G-88(1996)
今後のトピックス(アンケート調査)
今後取り上げていくトピックスに関するアンケート調査を中間報告したが、会員の半数程度の意見しか集まらなかったので次回集計を行うことにした。回答がまだの人は次回までにお願いします。
第1回

1998年7月2日

詳しい議事録

物性研究会の活動概要紹介(大澤、山崎)
各会員からのトピックスとコメント
懇親会(17:00-21:00)