Paper Science Forum開催案内及び議事録
(この議事録はごく簡単なもので、登録メンバーには詳 しい議事録を配布しています。)

開催日 内容
第65回 2019年8月 29日(木)

詳しい議事録
------出欠のお返事を お願いします------
 ・どなたでも自由にご参加になれます。
 ・初めて参加ご希望の方はメンバー登録ページの「Gその他」にお書きください。

  日時  2019年8月29日(木)15:00〜16:50
    15:00〜 開会
    15:05〜 話題1
    15:45〜 休憩
    16:50〜 話題2
    16:30〜 事務連絡
    16:35〜 名刺交換etc.交流時間
    16:55    散会(時間厳守)
    17:15〜 懇親会(王子駅前の店)を予定しています(希望者のみ)。

  場所 紙の博物館 講堂
  住所 東京都北区王子1-1-3   電話 03-3916-2320
  Access JR王子駅南口より 徒歩5分  東京メトロ南北線 西ヶ原駅より徒歩7分など

 bullet 参加費 無料ですが入館料300円が必要です.

 bullet 話題提供
 bullet テーマは、「製紙技術の基礎と応用」です。
  1. 「パルプ繊維中の空隙構造に関する議論」
    木村実氏(東京大学農学生命科学研究科研究員)


    空隙構造に関する知見を得るための測定法には、窒素吸着法、水銀圧入法、保水値、溶質排除法、熱的細孔分布測定法(DSC)など がある。それぞれの測定法から得られる結果は整合性に乏しいがどのような解釈が可能かを議論する。

  2. 「機能紙の設計(機能付与)について」
    小野智則氏(リンテック株式会社 東京洋紙営業部)


    機能紙を設計するための指針には、力学特性や光学特性などの一般的な紙質をベースに、要求物性を実現するための特定機能性の付与 が挙げられる。当社製品を実例に機能紙の処方設計など、その実現手法について紹介する。

--お願い--
次回以降話題提供できる方は積極的に幹事までご連絡く ださい。紙に関連する内容ならば特に制限はありません。紙に関する話題のご提供をよろしくお願いします。
第64回

2018年10月10日(水)

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bullet 話題提供
bullet テーマは、「ノートを作る・紙を作る」です。
  1. 「消しゴムで消しやすいノート用紙について」
    村上智子 氏(コクヨ株式会社 ステーショナリー事業本部 ものづくり本部 記録する・印すVU 開発1グループリーダー)


    小学生のノートは、ほぼ2B程度の鉛筆で書かれている。その鉛筆に対し、消しゴムで消しやすいく書きやすいと感じる紙を、紙 の原料と仕上げ、ユーザー調査を繰り返し、今秋リニューアルする。その過程を紹介する。
  2. 「乾式オフィス製紙機PaperLabについて」
    中村昌英 氏(セイコーエプソン株式会社 PL事業推進部)


    当社は、2016年に水を使わない「オフィス製紙機PaperLab」を新たに開発し発売しました。水を使わないことで設置 の自由度を高め、社内の機密文書などを社外に持ち出すことなく手元で再生することができます。また色紙や厚紙などへの再生も 可能で、幅広い用途へと活用できます。発表では、製品と活用事例の紹介、および乾式で古紙を再生する技術について紹介をしま す。
第63回

2018年2月28日

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bullet 話題提供
bullet テーマは、「紙の保存修復と紙粉」です。
  1. 「紙文化財の保存と修復」
    加藤雅人氏(国立文化財機構 東京文化財研究所 文化遺産国際協力センター 技術支援研究室 室長


    和紙文化財の修復は表具などと呼ばれる伝統技術に支えられてきた。一方で、近現代の洋紙は西欧が主導してきたが日本製洋紙へ の適用可能性は十分に検討されていない。それぞれの特徴と問題点を紹介する。
  2. 「プリンタ複合機適合紙判定の為の紙粉検出法に関する研究と標準 化提案」
    月山陽介氏(新潟大学自然科学系(工学部) 助教)


    プリンタ複合機(MFP)の作像・搬送性能に影響する紙粉発生の良し悪しを判断する評価手法として『ローラ摩擦紙粉検出法 (仮称)』を開発した。紙をローラで100mmこすった時の摩擦低下を測る簡便な手法で、各種用紙のMFP適合性を紙粉の観 点から評価可能である。現在一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)に標準化提案を行っている。
第62回

2017年10月12日

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bullet 話題提供
bullet テーマは、「紙の製造技術」です。
  1. 「日本における紙幣用紙製造の歩み」
    武藤直一氏(独立行政法人 国立印刷局研究所)


    日本の紙幣が有する独特の風合いには伝統的な和紙の技術が受け継がれており、世界に類を見ない独自の用紙となっている。紙幣 用紙の製造について、明治政府が紙幣の統一と国産化を目指し和紙の技術を基礎として用紙製造を開始してから、戦災等を経て現 在に至る歩みを紹介する。
  2. 「事務機屋メーカーが作る小型再生紙製造装置について」
    太田竜一氏(デュプロ精工株式会社)


    当社は学校等で使う孔版印刷機を主力商品としているメーカーです。2010年から紙資源をオフィスで再生する装置 (RECOTiO)を発表し、販売しています。講演では、本装置の開発動機、動作概要、他社類似品の紹介を行い、再生紙サン プルを配布する予定です。
第61回

2017 年4月26日

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bullet話 題提供
bulletテー マは、「紙の優位性とその活用」です。
  1. 「変圧器に使用される電気絶縁紙について」
    小西義則氏(ユカインダストリーズ )

    電力供給の主要機器である変圧器の寿命は、それに使用されてい る電気絶縁紙の劣化によるとされている。近年、高経年変圧器が増えるに従い電気絶縁紙の物性が再注目されていることについて 紹介する。
  2. 「固 有の際立った優位性を有する製紙産業」
    辻本直彦氏(公益財団法人 紙の博物館))

    「製紙産業」の三大優位性(地球環境に善であること。他を圧倒した最大のバイオマスエネルギー産出者であること。紙は電子媒体に 比べ超長期保存媒体であること。)を述べた後、我国の製紙産業が他国に比べ、際立って優れている点を説明する。
第60

2016 年8月24日

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bullet話 題提供
bulletテー マは、「多層抄き技術と風合いのある印刷用紙について」です。

1.     「最新の多層抄き技術 -アクアレイヤリング -」
山崎秀彦 氏(バルメット梶j)

従来、多層抄きを行うには、長網を複数組合わせる方法がとられてきた。諸事情の変化により既存マシンを改造し層数を増やす要求は世界的に も増えつつある。1つのヘッドボックスで多層抄きを効果的に行うアクアレイヤリング技術について紹介する。

  1. 「高 級印刷用紙の性能について」
    暮沼侑士 氏(特種東海製紙梶j

    高級印刷用紙は、紙が本来持つやさしい肌触り (=風合い) と印刷適性を併せ持つ特殊印刷用紙である。風合いと印刷適性という相反する性能を高水準で両立させることを目指して開発した高級印刷用紙を例として、高級印刷用紙の性能お よび評価法について紹介する。
第59

<>2016年4月 21日

<>詳しい議事録
bullet話 題提供
bulletテー マは、「セキュリティ技術と製紙薬品の最新動向」です。

1.     「紙幣やパスポートなど、高セキュリティ媒体の最新技術動向」
前平 誠 氏(凸版印刷)

外紙幣に用いられている偽造防止技術、各国パスポートの動向、ICAO 推奨の偽造防止技術、その他、凸版印刷の新しい研究テーマ (セルロースナノファイバ等)について紹介する。

  1. 「パ ルプエアレイド製法における王子キノクロス法の特徴」
    山口 裕之 氏(王子キノクロス)

    エアレイド各製法のマットフォーマーの特徴を概説し、次いで、湿式抄紙と対比させて、エアレイド製法で使用される繊維原料の要求 特性を説明する。最後に、弊社の主なエアレイド製品を紹介させていただく。
第58

 2015年7月 30日

<>詳しい議事録
bullet話 題提供
bulletテー マは、「新規添加剤による紙の高機能化」です。

1.     「セルロースナノファイバーによる紙・不織布の機能化」
濱田 仁美 氏(東京家政大学)

近年その開発が大変注目されているセルロースナノファイバーを、紙や不織布、織物に塗工することで、印刷品質の向上、保温性や吸水性等の 機能性が向上することが確認された。セルロースナノファイバーのテキスタイル分野への応用展開の可能性を検討している。

  1. 「製 紙用薬品について〜技術の変遷及び最近の動向について〜」
    瀧下 雅之 氏(荒川化学工業)

    紙の抄造において、操 業性及び紙質の向上のために多くの製紙用薬品が使用されている。抄紙環境の変化に伴い、薬品の品質、設計及び使用方法も変化 してきた。今回は、その中のサイズ剤、紙力剤を中心に技術変遷と最近の動向に関してお話させて頂く。
3.     「ブリタニカ百科事典 項目『紙』の改訂について」
川村 之 氏(ブリタニカ・ジャパン編集部)

弊社の百科事典には「紙」という項目があり、英語版の百科事典にも古くから「紙」という項目がある。現在、コンテンツをデジタル 化して公開するため、項目「紙」を含めたアップデートを実施しており、皆さんのご協力をお願いしたい。
第57

<>2015年2月 5日

<>詳しい議事録
bullet話 題提供
bulletテー マは、「用途に特化した紙の高機能化」です。

1.     「たばこを支える紙」
花田淳成氏 (日本たばこ たばこ事業本部R&Dグループ製品開発部)

たばこ製品にはシガレットからパッケージまで多くの紙が使用されている。紙素材の使用部位および、役割と求められる機能について解説す る。併せて、たばこ製品の概要と、新規技術を搭載した商材を紹介する。

  1. 「食 品保存性の向上に貢献する新しい紙製容器包装技術」
    岩崎誠氏 (元王子製紙)

    従来から紙は包装材として幅広く使われてきた。近年、紙を供給する紙パルプ業界は紙の需要が減少したことから、木材から紙ばかり ではなく、木材成分を抽出し利用するバイオリフイナリの研究開発が盛んである。その中には、高いバスバリヤ性のあるセルロースナ ノファイバーやヘミセルロースなどの新規な素材があり、それらを容器包装に活用すれば、食品の保存性を高めることができる。ここ では、食品保存の重要性、紙の容器包装(特に食品包装)への利用状況、および従来とは少し違った機能を持つ新素材の開発状況など を紹介する。
第56

<>2014年9月 30日

<>詳しい議事録
bullet話 題提供
bulletテー マは、「今後の用途を見据えた紙の機能化」です。

1.     「紙の強度増強」
鈴木恭治 氏 (静岡大学 名誉教授)

紙の品質向上、用途拡大、機能化等を目指すためには「紙の強度増強」が重要な技術の一つであると考えられる。今回は筆者が強度向上のため 手がけてきた紙力増強剤添加や繊維の化学改質について概要をご披露したい。

  1. 「紙 のエレクトロニクス応用の最近の動向」
    江前 敏晴(筑波大学 生命環境系 教授)

    金属や無機物を主材料としたエレクトロニクスが広く使われる中で、その一部は紙を基板とする廃棄/回収/分離の容易なエレクトロ ニクスに置き換えていくことは、原材料の供給安定性、製造コストの低減、持続可能な社会の維持に有効である。紙だからこそできる エレクトロニクスの技術と市場の獲得を目指す。
第55回

<>2014年2月 13日

<>詳しい議事録
bullet話 題提供
bulletテー マは、「オフセット印刷の技術と最新事情」です。

1.     「オフセット印刷技術と印刷技能の現状と将来」
伊藤竜男氏(凸版印刷 製造技術センター)

[日本のオフ輪2013](日本印刷新聞)にて発表した内容を中心に、オフセット印刷に必要とされる技能の伝承と標準化について話しま す。数字の出てこない話にしますので気楽に聞いて頂ければと思います。

  1. 「日 本の新聞用紙の製造の歴史」
    羽鳥 一夫 氏(サカタインクス 新聞事業部)

    明治3年(1871年)に日本最初の新聞が発行されてから143年が経過している。また日本で最初の製紙工場が明治8年 (1876年)に東京の王子に誕生してからも138年になる。この間、新聞、新聞用紙はどのような変遷を遂げたのかを色々な観点 から簡単にまとめた。
第54回

<>2013年10月 16日

<>詳しい議事録
bullet話 題提供
bulletテー マは、「紙の印刷適性と劣化」です。

1.     「紙の劣化評価と劣化抑制処理について」
岡山隆之氏(東京農工大学)

紙試料の大きさ及び損傷を最小限にとどめながら、経年劣化した紙資料の強度を測定するアコースティック・エミッションを用いた紙の劣化度 測定法を紹介する。また、酸性紙の脱酸性化処理に関する最近の動向も述べる。

  1. 「印 刷モットリングの研究」
    石崎雅也氏(日本製紙)

    塗工紙のオフセット印刷物の品質問題の一つにモットリング(印刷濃度の濃淡ムラ [不均一性])があり、紙要因としては表面粗さ(表面凹凸のムラ)、インキ(ビヒ クル)や湿し水の吸収ムラ、地合い等に由来する紙厚のムラなどが知られている。 市販塗工紙を調査したところ、網点部で発生したモットリングの要因はインキの転 移ムラで概ね説明できたが、一部の試料ではインキの転移ムラが小さくてもモット リングが劣る場合が見られた。そこで塗工紙の更なる品質向上に役立てることを目 的として、その要因や発生メカニズムを解明する検討を行った。  最初に光学顕微鏡を用いてモットリングの濃部と淡部を詳細に観察した。印刷濃度 に影響する要因には、網点部ではインキ皮膜の面積に関係する機械的ドットゲイン (実際の網点太り)に加え、光学的ドットゲイン(見かけの網点太り)もあり、こ れは印刷媒体の面内方向(X-Y方向)の光拡散に影響すると考えられている。そこ で、印刷した罫線の微小濃度プロファイルを測定して、モットリングの濃部と淡部 の光拡散の違いを調べた。またモットリング、紙の面内方向の光拡散ムラ、塗料に よる原紙の被覆ムラそれぞれをムラ指数で数値化し、それらの関係を定量的に調査 した。  その結果、網点部のモットリングにはインキの転移ムラに加えて、光学的ドットゲ インのムラも影響することがわかった。特にA2グロス調コート紙に標準的な条件で 印刷され、網点の形状が概ね均一である場合に発生するモットリングに関しては、 光学的ドットゲインのムラが大きく影響すると考えられた。光学的ドットゲインの ムラは紙の面内方向の光拡散ムラに起因することがわかった。紙の面内方向の光拡 散ムラの要因は、塗料による原紙の被覆ムラ、塗工顔料と原紙のパルプ繊維の光拡 散の違いなどであると考えられた。モットリング対策の一つとして塗料による原紙 の被覆ムラを抑制することは、インキの転移ムラに加えて光学的ドットゲインのム ラを小さくする観点からも重要であると考えられた。
第53

<>2013年1月 11日

<>詳しい議事録
bullet話 題提供
bulletテー マは、「テーマは、「紙の歴史と文化」です。

1.     「薄葉紙・特殊紙との40年」
原 啓志 氏(元日本製紙パピリア)

非木材繊維、パルプ、紙の特性と特性を活かした紙の設計、さらにはこれらの応用としての特殊印刷用紙などを振り返りながらいくつかを紹 介。これからの薄い紙の可能性についても考える。

  1. 「紙 の保存、紙と地球環境そして紙博」
    辻本 直彦 氏(紙の博物館)

    正倉院から紙の保存の「極意」を学ぶというお話、紙は地球環境にとって「善」
    であるお話、そして「紙とは何か」から、最後に「紙の博物館の展示物」を紹介
    します。
第52回

<>2012年9月 28日

<>詳しい議事録
 bullet話 題提供
bulletテー マは、「新しい紙の物性研究と加工」です。

1.     「PSFの足跡」

山内龍男氏(京都大学・PSF代表)
物性研究会と題した時代から今日に至るまでのPaper Science Forumの活動、役割を振り返り、今後の指針とする。最後に、会員からのアンケート結果も報告する。

2.     「フランス・紙パルプ印刷研究所の報告および紙の撥水・撥油化の検討」
福田聖氏(国立印刷局研究所)

演者が先に留学したフランスの国立紙パルプ印刷研究所(LGP2
)の概要を報告し、並びに当所で取り組んだ新規フッ素 系薬剤による紙の撥水・撥油加工について紹介する。
第51回

<>2012年3月 9日

<>詳しい議事録
 bullet話 題提供
bulletテー マは、「紙のイメージングと不透明度」です。

1.     「透過超音波強度比較による紙の特性」
山本幸洋氏((株)東芝 電力システム社)

非接触超音波探傷装置を開発し、透過超音波強度で紙片のイメージングを試みた。まだ粗い段階ではあるが、本フォーラムの場を借りて研究開 発およびマーケットの可能性を議論したい。

2.     「紙加工品業界の現状と課題〜組合活動から見えてくるもの〜」
早水利行氏(全日本紙製品工業組合)

紙加工品業界に関して以下の3点を紹介する。 @全日本紙製品工業組合の組織と活動内容 A業界の現状とその課題 B組合所管JIS規格 (ノートブック・封筒・便せん・レポート用紙・原稿用紙)の概要

3.     「窓付き封筒の窓用材料の不透明度に関する考察」
江前敏晴(東京大学)

JIS S5502:2010「封筒」に規定された窓付き封筒の窓用材料の不透明度は20%以下でなくてはならない。2010年での改正の時点で、不透明度測定法をハンター法から ISO法に変更したが、両者の不透明度測定条件が全く異なるため、従来不透明度20%以下(ハンター法)で広く普及している窓用材料が、 ISO不透明度では20%以上の規格外品になってしまう不都合が生じた。この善後策を講じる。
第50

<>2011年 12月14日

<>詳しい議事録
 bullet話 題提供(第239回繊維学会紙パルプ研究委員会研究会との共催)
bulletテーマは、「中国 市場」です。

1.     「生産・消費とも世界一に躍り出た中国の紙パルプ産業が抱える諸問題」
尾鍋史彦氏(東京大学名誉教授、元繊維学会紙パルプ研究委員長、前ペーパーサイエンスフォーラム代表、前日本印刷学会会長)

中国の現状を9月に北京で開催されたChina Paper 2011の技術会議や展示、書籍を中心に探り、背後にある基礎研究の現状を眺めたい。また2011年から始まった第12次五か年計画における紙パルプ産業の推移を指導理念 である科学発展観および10月に開かれた中国共産党六中全会における文化強化政策から予測し、更に満州事変80周年という節目の年に今後 の日中関係を考えて見たい。
第49回

<>2011年 8月30日

<>詳しい議事録
bullet話 題提供
bulletテーマは、「紙の 塗工」です。

1.     「紙塗工の塗布流動解析事例」
藤田誠氏、安原賢氏(三菱製紙)

塗布に関しての数値解析はこれまで各種の塗布方式に関して行われてきた。この中でも、需要の多いスロット塗布に関しては、塗布最適化の為 に多くの数値解析が行われてきた。また、ブレード塗布は超高速塗布でありその解析も複雑である。今回は、スロット塗布解析事例と流体解析 と構造解析を組み合わせた連成解析を用いたブレード塗布解析の事例の紹介、及び将来の展望について報告をさせていただく。

2.     「インクジェットによる紙への銀ナノ粒子塗布」
江前敏晴(東京大学)

紙の特性を生かした紙基板エレクトロニクス実現を目指している。銀ナノ粒子インクを使った配線の電気抵抗を下げるのに必要な紙の特性や、 紙の微細な空隙を利用したマイクロ流路作製技術について報告する。
第48回

<>2011年 7月26日

<>詳しい議事録
 bullet話 題提供
bulletテーマは、「 塗工技術と震災対応」です。

1.     「同時多層カーテン塗工の応用」
山崎秀彦 氏(メッツォペーパージャパン)

スライドダイを用いた同時多層カーテンコータの出現によって、紙塗工の領域が大きく広がりつつある。バリア層とか特殊な機能を持った層を 目標の塗工層に1パスで付与することができ、製品設計の幅が今後拡大されていくものと思われる。

2.     「東日本大震災による津波被災紙の生物劣化抑制
―紙文化財の塩水を用いた緊急保存法の提言―」

東嶋健太、江前敏晴(東京大学)

紙類を3.5%以上の塩濃度の人工海水に浸漬すると、ほとんどのカビの成長を抑制できることを、紙パルプ研究発表会及び文化庁被災文化財 レスキュー事業の研究会にて報告した。これについて紹介する。
  第47回 <>2010年 10月 26日

<>詳しい議事録
 bullet話 題提供
bulletテーマは、「 紙の製造と物性の基本に立ち返る」です。

1.     「パルプ漂白研究を振り返る」
岩崎誠 氏(王子製紙OB)

1980年から2001年まで、王子製紙(株)の研究所で、パルプ化および漂白の研究と、その結果に基づいた実機導入のサポートに従事し てきた。 その中で、パルプ漂白に関係する思い出深いトピックス(二段酸素晒、パルプのキシラナーゼ処理、ECF変換に伴う退色問題)に ついて述べる。

2.     「 京都大学における紙研究ー紙の構造と物性についてー(その2)」
山内龍男 氏(京都大学)

前回に続き、過去40年弱にわたり行ってきた私の研究の一端を振り返り、その内容を紹介する。
第46

<>2010年6月 3日

<>詳しい議事録
bullet話 題提供
bulletテーマは、「 紙の構造、物性、電気特性」です。

1.     「京都大学における紙研究 −紙の構造と物性について−」
山内龍男 氏(京都大学)

研究生活の一区切りとするべく、過去40年弱にわたり行ってきた私の研究成果を業績リストを通じて振り返り、併せて代表論文を紹介する。
 

2.     「 電力用変圧器の巻線絶縁紙に生じる熱と紙中水分の推定に基づく巻線絶縁紙の劣化診断について」
中塚俊 氏(東北電力)

変圧器の寿命を決定すると定義されている巻線絶縁紙は,変圧器が密閉構造となっているため,直接採取して劣化度合いを調べることができな い。そこで,劣化の主要因といわれる熱と紙中水分の推定から間接的に絶縁紙の劣化度合いを診断する手法を検討したので,その内容について 紹介する。
第45

<>2009年8月 27日

<>詳しい議事録
bullet話 題提供
bulletテーマは、「 製紙薬品と機械の新しいコンセプト」です。

1.     「ポリビニルアルコールの高機能化について」
万代修作 氏(日本合成化学工業)

PVAは日本発の水溶性高分子として半世紀以上の開発の歴史があり、製紙用途をはじめとして様々な用途に用いられている。日本合成がこれ まで開発してきた高機能PVAの設計思想の歴史および、最近開発した新規ビニルアルコール系樹脂の設計思想と機能について紹介する。
 

2.     「 新しいカレンダコンセプト(メタルベルトカレンダ)による効果」
山崎秀彦 氏(メッツォペーパージャパン)

カレンダ処理の主な変数には温度、有効面圧、ニップ滞留時間がある。紙・板紙の嵩の損失を避けつつ、カレンダ効果を上げることが求めら れ、これはいかに紙表面をうまく塑性変形させるかという問題につながってくる。ここでは、低ニップ圧、長いニップ滞留時間、高い熱伝達を 基本とした新しいカレンダコンセプトとそれがもたらす効果を紹介する。
第44

<>2009年4月 24日

<>詳しい議事録
bullet話 題提供
bulletテーマは、「 紙の機能発現と抄紙の現場」です。

1.     「紙と水(その3)−抄紙機上ドライヤーパートにおける湿紙の挙動−」
木村実 氏(東京大学非常勤講師・元国立印刷局理事)

今回は、巻き取り紙両端部にみられる抄紙横方向(CD)諸特性の不均一性について議論する。この不均一性はドライヤーパート初期の湿紙乾 燥時に発現する乾燥張力の不均一分布に起因すると考えている。また、この現象を説明するに有用な「有限繊維長モデル」についても概説す る。
 

2.     「37年間の紙パ現場経験」
市場正紀 氏(元王子製紙)

現場の3交代勤務、工場における研究、原質新ラインの建設、抄造部経験、工場の安全管理等についてお話しする。
第43

<>2008年10月 31日

<>詳しい議事録
bullet話 題提供
bulletテーマは、「 紙の機能発現」です。

1.     「紙と水(その2) プレスパートにおける紙層構造発現に関するモデル実験」
木村実 氏(東京大学非常勤講師・元国立印刷局理事)

紙と水の関係を論ずる場合、まずは抄紙機プレスパートおよびドライヤーパートにおける紙層形成過程を理解する必要がある。今回は紙厚およ び地合測定を含む簡単なモデル実験による結果をもとに、プレスパートでの脱水時におけるパルプ繊維の挙動について推定する。
 

2.     「電気絶縁紙の平均重合度測定について」
小西義則 氏(ユカインダストリーズ)
第42

<>2008年2月 8日

<>詳しい議事録
bullet話 題提供
bulletテー マは、「紙の水分と環境にやさしい紙」です。

1.     「環境にやさしい紙・再考」 江前敏晴(東京大学)
年賀はがきの古紙配合率偽装問題に関連して環境にやさしい紙について(個人的に)再考する。グリーン購入法で決められていること、再生紙 及び非再生紙LCAの解釈などをお話しする。
 

2.     「紙と水」 木村実 氏(元国立印刷局・東京大学非常勤講師)
紙は製造段階から利用に至るまで水との関わりが非常に強い。時間の関係上、ここでは出来上がった紙に限定し、紙の収着等温線を ベースに演者が日ごろ疑問に感じている事柄について発表する。
第41

<>2007年6月 14日

<>詳しい議事録
bullet話 題提供
bulletテー マは、「Paper coating and printing」です。両方とも英語での講演となります。

1.     <>"Print gloss development in offset printing and electrophotography"
(オフセット印刷及び電子写真方式における印刷光沢の発現)
<>
Toshiharu Enomae (The University of Tokyo)
[江前敏晴(東京大学)]

Gloss development processes of mat-coated paper in offset printing and electrophotography were compared and discussed from the result of the frequency analysis of surface roughness for printed and unprinted surfaces.  For offset printing, the ink split pattern formed on the coated paper surface at the printing nip was leveled the most slowly, resulting in the slow gloss increase. In the later process, however, roughness hidden by ink coverage appeared as the ink film became thinner by vehicle penetration. For electrophotography,  although the transfer of toner maintains the paper surface topography, the printed surface topography is formed by applying heat and pressure and becomes different from paper surface topography.
[マットコート紙における印刷光沢発現の違いをオフセット印刷と電子写真方式とで比較し、表面粗さの印刷前後の変化を周波数解析した結果 からその違いを考察した。オフセット印刷では、印刷ニップでのインキのスプリットパターンが平坦化し、印刷光沢はゆっくり上昇する。しか し後半では、インクビヒクルの吸収に起因するインク層の薄膜化に伴ってインクに被覆されていた粗さが露呈して、印刷光沢は低下する。電子 写真方式では、トナーの転移だけでは紙の粗さを維持しているが、加熱と加圧によって紙の表面形状とは異なった平滑な表面に変形することが わかった。]
 

2.     <>"Global Trends in Paper Coating"
(紙塗工における世界的動向)
<>
Dr. Pekka Salminen (Dow Latex, Horgen, Switzerland, Associated Professor of Karlstad University, Sweden)
[ダウラテックス社, ホーゲン, スイス、スウェーデン・カールスタット大学准教授]

ラテックスメーカーから見た紙塗工についての最近の世界的動向を論じます。
第40

<>2007年4月 13日

<>詳しい議事録
bullet話 題提供
bulletテー マは、「紙の機能」です。

1.     「電力機器における電気絶縁紙にかかわる諸問題」吉田昌展 氏(中部電力)
電力機器の絶縁構成として、紙と絶縁油による複合絶縁が古くから用いられているが、経年20〜30年程度の機器において、紙・絶縁油系の トラブル事例(絶縁低下など)が散見されるようになってきた。このように、電力分野がかかえる電気絶縁紙にかかわる諸問題についてご紹介 したい。

 

2.     「微小水滴の紙への吸収速度」江前敏晴(東京大学)
インクジェット(IJ)印刷では微小な水性インク滴を吐出し、紙表層に吸収させる。ステキヒトサイズ度は紙全体のはっ水性を評価 し、ブリストー法では無限に水が供給される状況での評価であるため、IJ印刷の評価になりえないと考えられる。微小水滴の吸収速度を高速 度カメラで撮影して解析した結果を報告する。
第39

<>2007年1月 17日

<>詳しい議事録
bullet話 題提供
bulletテー マは、「 グローバルに見た紙パルプ産業」です。

1.     「東南アジア諸国の紙パルプ産業に係わる四方山話」品川俊一氏(元経済産業省産業総合研究 所)<>
1977年以来、タイ及びフィリッピンを主として、他にインドネシア、ミャンマー、インドなどの研究機関との紙パルプ関連の協同研究や調 査旅行の機会を得た。協同研究を通してみた各国研究所の状況、見学した製紙・パルプ工場、手すき紙工房などについての私の感想を紹介す る。

 

2.     「製紙原料におけるCS(顧客満足)−環境にいい紙とは−」大澤純二氏(王子製紙)
従来、古紙の配合率が高い紙が「環境にいい紙」とみなされてきたが、最近では「持続可能な森林経営」から得られる木材原料も、古 紙と同様に環境にやさしい製紙原料であると認められるようになった。最近の製紙原料調達状況について報告する。
 
第38

<>2006年10月 18日

<>詳しい議事録
bullet話 題提供
bulletテー マは、「 用途に特化した紙の特性」です。

1.     「 屈折率測定によるセルロース繊維の劣化判定の試み」小西義則 氏(ユカインダストリーズ)
変圧器巻線絶縁紙から絶縁油中に剥がれ出た繊維に着目し、変圧器劣化の診断手法を検討した。調査の結果、劣化の指標となる絶縁紙繊維の平 均重合度とその繊維を含む絶縁油の屈折率には相関がみられた。
 

2.     「お札について」木村実 氏(国立印刷局)
紙幣に関する最近の話題についてお話します
第37

<>2006年7月 25日

<>詳しい議事録
bullet話 題提供
bulletテー マは、「 世界の新・紙パルプ産業拠点の状況」です。

1.     「 ブラジルにおける工場建設と植林」市場正紀 氏(王子製紙OB)
私はセニブラ社のパルプ工場新設工事および倍増工事にそれぞれ携わりました。 同時に操業や経営経験を持つ機会もありました。計10年間のブラジル駐在経験を通して、感じたこと、考えたことをお話します。
 

2.     「タイにおける製紙研究と紙パ産業」Dr. Kuntinee Suvarnakich and Ms. Somporn Chaiarrekij
Lecturer, Department of Imaging and Printing Technology, Faculty of Science Chulalongkorn University Thailand
(タイ国チュラロンコン大学科学部画像印刷学科 講師)

アメリカのニューヨーク州立大学とワシントン大学で製紙科学を学ばれたタイ国チュラロンコン大学講師のお2人が7月と8月の2ヶ月間東京 大学の製紙科学研究室に滞在します。ご自身の研究内容やタイの紙パルプ印刷関連産業の状況についてお話して頂きます。(江前)
第36

<>2006年3月 16日

<>詳しい議事録
bullet話 題提供
bulletテー マは、「包装容器のための紙」です。

1.     「 ファインプレスについて−紙二次元シートの三次元化の試み−」浅山良行 氏(王子製紙)
「深く・強く・滑らか」で地球環境にやさしい成型用紙を目指して、王子製紙の「ファイン
プレス」は開発されました。他の紙との比較と合わせ「ファインプレス」による最近の成型
品の開発状況について紹介します。
 

2.     「フッ素系化合物による紙への撥水・撥油性付与」福田 聖 氏(東京大学)
フッ素化合物を内添又は含浸処理等で添加して、紙に撥水性と撥油性を同時に且つ効率良く付与する表面改質処理を試みると共に、紙の撥水・ 撥油性の発現機構を多角的に解明してきたこれまでの研究成果を報告致します。
第35

<>2005年7月 29日

<>詳しい議事録
記号話 題提供
記号テー マは、「 塗工紙とコロイド」です。

1.     「塗工紙の乾燥方法について」山崎秀彦氏(メッツォSHI)
近年、マシンの高速化への要求から、コーティングステーションでの紙の乾燥方式も変化してきている。これは勿論、ターゲットとす る紙種によっても異なっている。高速化とともに、当然、ドライヤでのドウェルタイムはより小さくなり、そのため高い効率、さらにより高温 対応の乾燥方式が必要とされる。乾燥の仕方により塗工品質に影響すると思われるが、適正な乾燥戦略により、良好な結果が得られる。
紹介資料: P. Heikkila, P. Rajala, "Drying of Coated Paper"
 

2.     「溶液中でのイオン性コロイド粒子の分布構造」金子哲男氏(理論物理学者)
フラクタルと言う言葉は数学者マンデルブロによって創作されてものだそうですが、今日では多くの人々に知られるまでになっていま す。また、フラクタルと 呼ばれる特殊な構造は自然界の至るところで露出しているのではないかと思われるまでになっています。フラクタルと呼ばれる構造は水溶液中に分散したイオン性コロイド粒子の 分布からも実験的に見出されています。最近では、そのようなイオン性粒子の分布構造を理論的に解析できそうな状況になりつつありま す。水溶液中に分散したセルロース繊維が電荷を持つのであれば、形状は異なるもののイオン性コロイドと見なしてよいはずです。繊維形状依存性が顕著でない現象に限定すれば イオン性コロイド粒子の振舞いは荷電したセルロース繊維の水溶液中での振舞いを説明して良いかもしれません。
第34

<>2005年4月 14日

<>詳しい議事録
記号話 題提供
記号テー マは、「 紙の抄造法と物性」です。
 


1.     「繰り返し可能な透かし模様紙の製造法」品川俊一氏(経済産業省産業総合研究所)
透かし模様紙の多くは、抄紙機の金網に直接模様を細工して、紙の厚薄又は疎密を与えることにより文字や図案を現出させています。 そのために、透かし模様毎に抄紙用金網を作製し、また、金網を取り替える必要があります。提案の方法は、描画用ロボットに樹脂で透かし模 様を紙上に描かせ、その紙から透かし模様を金網上に転写させて、透かし模様紙を作製します。終了後は、金網に転写した樹脂を剥離除去しま す。そのために、模様を変える毎に金網を作製する必要がなく、また、抄紙時の金網移動を必要とせず、作業性のよい方法と考えています。
 

2.     「紙物性概要」山内龍男氏(京都大学・現PSF代表)
近々発刊予定の"紙の文化事典"(前PSF代表尾鍋史彦東京大学名誉教授編・朝倉書店)の中で私が担当した"洋紙の性質"の原稿 を元に、構造的性質、多孔的性質、力学的性質、光学的性質を紙の初心者向きに簡単に説明します。
第33

<>2005年1月 21日

<>詳しい議事録
記号話 題提供
記号テー マは、「 紙の平滑度測定法と紙の平滑度を決定する要因」です。
 


1.     「紙の平滑度表現法とその意義」江前敏晴(東京大学)
空気漏洩式と表面形状測定の一般的な方法の解説とそれぞれの関係について論じる。またプリントサーフ粗さと王研式平滑度の換算式 を求める方法についても解説する。
 

2.     「各種の平滑度・透気度測定機について」須田貢司氏(日本検査システム株式会社)
紙の平滑度・透気度試験機比較及び技術的相違 ベック平滑度試験機・王研式平滑度試験機・ガーレー試験機・スムースター・デジタ ルスムースターの5式について
 

3.     「各種平滑度測定法と用紙物性の相関関係について」鷲谷公人氏(三菱製紙株式会社)
種々の用紙を各種の平滑度測定法で測定し、それらの相関関係について考察する。
第32回

<>2004年10月 22日

<>詳しい議事録
記号話 題提供
記号テー マは、「デジタル印刷におけるトナー及びインクの定着機構と分析」です。
 


1.     「各種トナーの定着に関与するシート要因と定着機構の調査」鷲谷公人氏(三菱製紙株式会社)
電子写真印刷に置ける各種トナーと用紙との関係を調べた。乾式トナーにおいては熱伝導率が、湿式トナーにおいてはトナーとの物理 /化学的相互作用が重要であることがわかった。

2.     「共焦点レーザー蛍光顕微鏡を用いたインクジェット印字の3次元ドット形態観察」江前敏晴 (東京大学)
共焦点レーザー蛍光顕微鏡を使って、インクジェット印刷物のドット観察を行った。ブラックとマゼンタのインキに含まれる蛍光染料 を利用し、インクジェット紙のインクジェット塗工層内でのドットの形状を3次元的に観察する手法について紹介する。
第31回

<>2004年6月 29日

<>詳しい議事録
記号話 題提供
bulletテー マは、「製紙原料の資源とその応用技術」です。
 


1.     「非加熱による非木質繊維のパルプ化」品川俊一氏(経済産業省産業技術総合研究所)
アバカ、バガス、バナナ繊維、わらなどの非木質繊維を水酸化ナトリウムと過酸化水素の混合液、又は1段目のパルプ化に 10〜15%の水酸化ナトリウム(対原料)でパルプを行い、次いで3〜7%の過酸化水素で約1時間の処理でカッパー価20〜30程度のパ ルプが得られる。但し、薬液の反応による熱の発生はあるが、燃料を使用する加熱は行わない。この方法のパルプ化装置の特徴、得られるパル プの製紙適性などを紹介する。

2.     「中国の製紙原料構造戦略」泥谷直大氏
中国には樹木が乏しいので、製紙産業発展の最大のネックは原料問題である。中国はこれまで植林の進行とそれに基く発展計画をしば しば述べて来たが、植林は結局うまく行かず、現在も木は無いに等しい。中国は「中国造紙」2003年(22)第6号に、これまでの植林の 失敗を認め新たな植林計画とその他の非木材原料計画を含めた原料戦略を発表したので、筆者はその内容に解析や補足を付して紙パルプ技術タ イムス2003年11月号に掲載した。以下はそのコピーである。中国は巨大な隣国なので、この問題は日本の製紙産業にも大きな影響を及ぼ すことは必至と思われ、読者はそれぞれに日本がそれらにどう対応してゆくべきかを考えて頂きたいと思う。なお筆者は同誌の2004年1月 号と6月号でも中国関連の記事を書いており、それらは本記事と関係もあるので、興味をお持ちの方は読んで頂ければ幸いである。
第30回

<>2003年9月 17日

<>詳しい議事録
記号話題提供テーマは、「インクジェット印刷適性」です。
 


1.     「インクジェットメディア用ポリビニルアルコール」 万代修作氏(日本合成化学工業梶j
空隙型インクジェットメディアのインク受容層向けバインダーとして、少量で優れた塗工層の表面強度が得られる特殊PVOH「ゴー セファイマーZ」について紹介します。

2.     「自動走査吸液計で測定したインクジェット用紙の吸水特性」 江前敏晴(東京大学)
初期時間(10ms〜)における紙の吸液量を測定できる自動走査吸液計を用い、各種インクジェット用紙などのブリストー吸水曲線を得た。 インクジェット用紙の吸水挙動の特徴について述べる。
第29回

<>2003年12月 12日

<>詳しい議事録
記号話題提供テーマは「紙の劣化と安定性・世界の製紙研究」

1.     「紙媒体記録の劣化と安定化のための試験法」木部 徹氏(資料保存器材)
紙媒体記録資料の修復の立場から、自然劣化を再現するASTMの新しい老化試験法や、ヨーロッパでの微破壊・非破壊試験法など、 紙の劣化と安定化のための各種の試験法について話題を提供します。

2.     「最近4-5年間における世界の研究開発体制の動き」 飯田清昭氏(紙パルプ技術協会)
製紙産業関連の研究開発は、北欧、北米、及び日本に3極化してきた。しかし、近年、北米における研究開発が急速に衰退しでしている。逆に 北欧は元気が良い。これらの原因を探ると共に、日本の将来の参考としたい。

bullet今後の Paper Science Forumの運営

最近話題を提供していただける方が減っております。積極的な話題提供をお待ちしております。話題のある方は幹事までご連絡ください。話題 が少ない場合は開催回数を減らすしかありませんのでご協力よろしくお願いします。
当面の間は3ヶ月1回程度フォーラムを開催していく予定です。
第28回

<>2003年9月 17日

<>詳しい議事録
記号話 題提供
テーマは「製紙産 業の環境・テクノロジ・アート」
 

1.     「日本はバイオマス資源をどう活用すべきか−カーボンニュートラルへの道−」奥島俊介氏(王 子製紙)
1 人類が現在消費しているエネルギーとバイオマスから得られるエネルギーとの関係
2 木質バイオマスの位置付け
3 紙パ産業におけるバイオマスの利用
4 温室効果ガス削減と日本の森林
5 バイオマス・ニッポンへの取り組み
6 温暖化問題と植林
7 石油代替としてのバイオマス
8 未来のカーボンニュートラル社会

2.     「テクノロジとアート」 金子哲男氏(理論物理学者)
機能を重視する社会的傾向はテクノロジとアートとの補完的な関係を忘れさせているのではないでしょうか。機能を重視する社会的傾向は、意 識の限界によって隠された属性を暴き出すサイエンスの価値すらも忘れさせる傾向にあります。サイエンスと同様にアートは、人の意識の進化 を助ける役割をしてきました。アートは心理的効果としての豊さを提供する文化です。そして、紙は文化のメディアとして数千年に渡り寄与し て来ました。多様な意識を内包した社会の安定性を維持するためにアートと紙を介して人の心理的復興が期待されてよいのではないでしょう か。
第27回

<>2003年6月 26日

<>詳しい議事録
記号話題提供テーマは「紙層構造と識別、紙層構造と紙質」

1.     「画像処理を利用した紙の異同識別法―紙のワイヤーマークの歪みに関する考察―」 宮田瞳氏(警視庁)
画像処理を利用した紙の異同識別法を市販紙に適用したところ一部に正しい照合
ができないものがあった。 その原因が紙の製造時におけるシートの伸縮やワイヤーの伸びによるものと考え、ワイヤーの長期間の使用や幅方 向プロファイルのシートへの影響について検討した。

2.     「紙のファイン分と配向から見た紙質」 山口輝史氏(三菱製紙梶j
紙の配向および繊維ファイン分が動的浸透性および動的寸法安定性に及ぼす影響についての調査を行った結果について、紙パルプ研究発表会で 発表予定の内容をより詳しく報告する。

bullet共同研究

「きょう雑物評価に関する共同研究」-
途中経過報告 江前敏晴(東京大学)

更紙及び上質系古紙パルプの脱墨処理前後のパルプシート(坪量約60g/m2)の3種の試料を用い、JIS法と ISO法のそれぞれ比較図を使って、全てのきょう雑物の面積を分類した。予備的に行ったこの測定の、2名の被験者の間での相違などについ て説明した。

第26

<>2003年3月 7日

<>詳しい議事録
記号<>Paper Science Forum代表 尾鍋史彦教授(東京大学)最終講義

題目:『紙メディアの将来』

製紙研究の経験の中から特にここ数年行って来たメディアとしての紙の問題を取り上げ、紙メディアの将来に関して理論的な解析を試みたい。 紙の人間との親和性、メディア理論、認知科学、紙の感性機能などが関わり、従来の製紙科学の領域から拡張された新たな研究領域である。 
 1.時代の変遷と紙研究の変化
 2.時代の転換点における紙メディアの見方
 3.電子書籍実証実験の理論的解釈・認知科学モデルの提案
 4.文化遺伝子理論から見た紙メディア
 5.紙の文化学の提唱
 6.紙メディアの将来
についての講義があった。
第25回

<>2003年1月 24日

<>詳しい議事録
記号話題提供テーマは「リサイクルコピー及び最新スライム対策の技術」
 


1.     「リサイクルコピー推奨紙の開発」 倉田俊彦氏(静岡県富士工業技術センター)
潟潟Rーのリサイクルコピー機(コピー済みのPPC用紙を再度コピー用紙として使うために、そのままトナーだけを取り除く装置)に必要な 推奨紙の開発を行った経過と推奨紙に必要な特性を得るための考え方などを紹介する。また、富士工業技術センターの業務と最近の技術相談・ 指導の動向など当センターを紹介する。

2.     「欧州におけるスライム測定技術と発生理論の研究について」 泥谷直大氏
<>(1) スライム発生早期警報システムの開発
EU
プロジェクトとしての研究で、センサーは90年代にスエーデンの大学で発明された水晶ピエゾ効果を利用したもの で、その説明とそれを用いた早期警報システムの開発について解説する。
(2) バクテリア言語の研究
バクテリアが信号物質を生産し、それで相互にいろいろな交信を交わしており、スライム生産もその信号によって生産が始まる、という内容で ある。

記号共同研究
bulletきょう雑物評価に 関する研究のアンケート集計結果と今後の展開

江前敏晴(東京大学)
第24回

<>2002年11月 21日

<>詳しい議事録
記号話題提供テーマは「インクジェット印刷と紙間摩擦」です。

1.     「新型摩擦試験機の紹介」 佐川弘文氏(牛イ川製作所)
身近ではコピー機の紙詰りや重走といったトラブルやオフセット印刷時の走行トラブルなど、また紙の荷崩れ等も摩擦が関与している事が多 い。然るに、紙に最適な摩擦を与えるには高精度の測定試験機が必要となり、この度ISO15359規格に準拠した自動摩擦係数測定機を開 発した。

2.     「空隙系インクジェットペーパー(Photolike QP)の紹介」 松本和正氏(コニカ梶j
写真グレードの高画質がインクジェットプリンターで再現できる専用光沢紙に関して、層構成と各層の機能を説明する。併せて空隙系インク ジェットペーパーが抱えている課題を紹介する。
第23回

<>2002年8月 23日

<>詳しい議事録
記号話 題提供
テーマは「塗工紙 と印刷適性-その4とパッケージ」

1.     「オフ輪じわの低減(用紙からのアプローチ)」 鈴木由紀子氏(王子製紙梶j

オフ輪印刷は速度が速く、両面同時印刷が可能であり、後工程の省力化が図られることから近年増加してきている。しかしながら、印刷後熱風 乾燥を行うため、枚葉印刷にはないいくつかの品質上の問題があり、そのひとつがオフ輪じわである。我々は、オフ輪じわの発生要因の考察か ら用紙の検討をおこない、乾燥時の収縮率、もしくは収縮力を抑制することによりオフ輪じわを極限まで抑えることに成功した。また、実機印 刷時の観察からオフ輪じわはオーブンに入った直後から発生し、オーブン通過中もそのまましわが保持されていることが確認できた。

2.     「定形郵便向けCD郵送パッケージの最適素材について」 小杉博俊氏(潟Vステムクリエイ ツ)

紙の用法の一つに包装基材がある。小杉はCDを定形郵便で安全に郵送できるパッケージ『CDメールパック』を6年前に開発した。本製品に 要求される特性は、定形郵便の規格つまり寸法を120mm×235mm以内、重さをCDを含め50g以内に収めることを充たした上で、同 時に郵送中におけるCDの保護性などの物性を保持すること、受け取り後もCDを出し入れする際CDに傷を付けないこと、販促資材としての 印刷表現適性および低コスト性である。本製品に適する素材を各種板紙、合成紙、ポリプロピレンシートから検討し、実地郵送テスト結果と各 種物性値を調べ、選定に至った経緯を報告。ミシガン州立大学で開催された−WORLDPAK 2002−で発表した。
第22回

<>2002年6月 21日

<>詳しい議事録
記号話題提供記号テーマは「塗工紙と印刷適性-その3」
 

1.     「紙とインキの相互作用‐ISIT試験機(Ink/Surface Interaction Tester)を使って」 岡川章夫氏(元イメリス・ミネラルズ・ジャパン梶j

印刷工程はインキと紙表面の複雑なプロセスです。インキの特性(特にタッキネッス)はインキが紙の表面に転移されてからの変化が印刷品質 に大きな影響を及ぼします。紙の表面特性(ポロシティー、強度)はインキの定着性に影響し、更に印刷画像の良悪を決める要因となります。 従来から印刷適性を試験する様々な試験機が開発されてきました。IGT試験機、Prufbau試 験機が良く知られています。しかしこれらの試験機ではインキが紙表面に転移された直後のインキ挙動を的確に知ることはできません。 1990年代の初め、旧ECC社のP.A.C.GaneE.N.Seylerが 開発した試験機では、紙表面に印刷された直後のインキの乾燥していく過程をインキのタッキネスの計時変化として測定します。タッキネス曲 線は紙塗工層の構造解明に威力を発揮します。この試験機の原理と、この試験機を使っての様々な事例を紹介します。

2.     「塗工適性および塗工紙品質評価方法と制御」 大篭幸治氏(日本製紙梶j

昨秋学位を取得されました。その学位論文の中からいくつか話題を提供して頂く予定です。(江前)
第21

<>2002年4月 5日

<>詳しい議事録
記号話題提供テーマは「塗工紙と印刷適性-その2」
 

1.     「最新のスプレーコーティング技術 ?OptiSpray?」 (山崎秀彦氏・メッツォペーパー梶j

<>Valmetが新しく開発したスプレー方式によるコー ターヘッドを紹介する。スプレー塗工の重要なポイントは液体の微粒子化で、低いカラー粘度と水相の表面張力、高い液滴速度、低い接触 角及び紙表面の高い表面エネルギーが要求される。

2.     「第52回木材学会(4/2-4岐阜大学)パルプ・紙セッション報告」 (江前敏晴・東京大学)

「タバコ茎繊維のバルカン化特性」「シート表面におけるサイズ成分の凝集状態とサイズ特性との相関」「塗工紙の紙間摩擦」「パルプ繊維か らなるウォータージェット不織布の摩擦と圧縮特性について」「再生紙の劣化制御処理」「ラテックス含浸紙の動的圧縮粘弾性」について報告 した。

3.     「オーストラリアの紙パルプ研究事情」 (野本明氏・元潟vラント設計研究所)

オーストラリアの一人当たりのGDPはかなり高く、欧米 の先進国並みでである。豊富な広葉樹資源国として、同じ資源を持つアジア太平洋地域の紙パルプ研究拠点を目指している。Monash大学 化学工学科では、1983年東京大学及び十條製紙石巻工場に滞在したことのあるR.E.Johnston教 授が中心になって、Australian Pulp and Paper Instituteの大卒に対する紙パルプの基礎的な専門教育プログラムが展開され、産学協同の研究センターCRCでのFunctional Communication Surfacesの研究活動が推進されている。


第1回〜第20回までの詳しい議事録