Paper Science Forum」 設立趣意書

 

来る21世紀を目前に「紙」を取り巻く環境も大きく変わろうとしています。例えば、インターネットやパソコン通信などの電子媒体による高度情報化社会においては、紙の需要は、量的には影響が小さいが質的な変化は確実に求められることは異論のないところです。また、各種規制緩和、ISO準拠に代表されますわが国の国際社会への参入、或いは地球環境保護の観点からも様々な課題をはらんでいます。

こうした中で紙に関する研究のうち「製紙科学」、「紙物性」と呼ばれております分野は、時代の要求に応えるための紙の特性を捉える上で、依然として重要と考えられます。かつて、この分野については、(株)日本紙パルプ研究所が主催する「物性研究会」があり、講演会、共同研究等幅広い活動の場を提供しておりました。残念ながら、日本紙パルプ研究所の業務内容変更に伴い、この研究会は休止しております。しかし、いかなる学究であっても研究者の情報交換の「場」が必要であり、これによって若手研究者は啓蒙され切磋琢磨され、この結果、世界に通用する研究も生まれるものと考えられます。この観点から、元メンバーを中心に研究会再開の要望の声も聞かれます。

そこで、わが国における「製紙科学」、「紙物性」の研究ネットワークを確立すべく、紙の若手研究者の方々にお集まりいただき、それぞれの立場から知識を研鑚し、普及し、紙パルプに関する学究の健全なる進歩発達を図り、以て社会に貢献することを目的に「Paper Science Forum」の設立の準備をいたしております。

つきましては、この趣旨にご賛同いただき、「Paper Science Forum」にご参加くださいますようご案内申し上げます。なお、上記の趣旨より、以前のような特定スポンサーの主催ではなく、当初は「手弁当」「手作り」の研究者ネットワーク・フォーラムを目指しますので、紙物性・製紙科学に関心があり、意見交換ができる若手の研究者なら、いかなる企業の方でも歓迎します。

 

1998年6月13日

 

発起人

代表 尾鍋史彦 東京大学大学院農学生命科学研究科

岡山隆之 東京農工大学農学部

内藤 勉 日本製紙(株)中央研究所

大澤純二 王子製紙(株)機能材開発研究所

山崎秀彦 (株)バルメット・ジャパン技術部

江前敏晴 東京大学大学院農学生命科学研究科